2014-01-01から1年間の記事一覧

散文 #9

自らの執着に悩む女の子の話を聞いているうちに、 わたしの穴は埋まっていった。 いつそう自分に約束したかは覚えていないが わたしはもう、今目の前にあるものしか愛さないことにしている。 これは自分の心の器の狭さから来る一種の諦めでもある。 執着に苦…

散文 #8

家とは 帰ればあなたの顔が見れるとか声が聞こえるというのではなく あなたの持つ空気が、家全体を取り囲みここに所属しているという事実が重要なのだと思う。 だからみんな夫婦や家族という 契約を重んじるのだろう。 わたしの人生を構成していた存在が一つ…

散文 #7

心に穴が開いている。 今日くらいは穴は開けたまま眠ろうと思う。

散文 #6

私にとって仕事とは この世界をまたひとつ好きになるための業である。 と辿り着いたら また仕事が楽しくなった。 よかったなあ。

散文 #5

大好きだったマスカラもハイヒールもミニスカートも 今のわたしにはもう必要のないものになってしまった。 それは環境の変化もあるけれど 何よりわたしの中に、もうあの頃の攻撃性がないことが大きい。 強く何かを思う気持ちや、強く何かを憎む気持ちに充て…

散文 #4

この世界にまたひとつ、 好きなものを増やすように仕事をしましょう。

散文 #3

最後にちゃんと他人に好きと言った日のことを思い出す。 秋の早朝ベランダで 部屋で未だ眠るシェアメイトを起こさないように窓をきっちり閉め切って わたしは泣きながら震える手で携帯電話を握りしめていた。 どんな言葉を放ったのかはもう覚えていないけれ…

散文 #1

不意によしもとばななの「とかげ」を読み返したくなり 取り憑かれるように購入したら止まらなくなり 狂ったように著作を4冊も購入してしまった。 大好きだった「キッチン」もその中に入れたかったのだけど、どうしても見つからず まあこんなこともあるだろう…

友人の恋人

昔からなぜか男女問わず友人に 「恋人があなたに似ている」 と言われることがとても多い。 今日もまた 「稀有な性質を持ったあなたに似た恋人」 の話で盛り上がり ふとそれはどうしてなのかと問うてみた。 すると 「あなたはどこかプレーンな性質があり、そ…

幸福論

毎日をとても充実して過ごしている友人に 「楽しそうでいいね」と投げかけたら 「みみこさんは今幸福ではないのですか?」を返されたところでふと気づく 自分を“メンヘラ”なんて揶揄したことは多々あれど 私は私の人生を不幸と思ったことはこれまで一度も無…

朝と夜の際に

寝る間際までスマートフォンをいじる― 起きている間は、出来るだけ多くの情報を取り入れては処理をするような習慣は 実は己の創造性を著しく欠如させているのではないかと思い とても久しぶりに寝床にスマートフォンを(勿論パソコンも)持ち込まないでみた…

掬い

もし貴方にとって私が「救い」になってしまうなら、 その「救い」が果たされた瞬間から、私は貴方の前から消えてなくなることを願う。 恩のような重いものを、追って生きていく自信がない。 だから「救い」になりそうに無くて良かった。 生まれ変わろうと模…

視覚依存の愛憎

物語ることで様々なものを壊してきた経験からか いや、単に「空気を読む」といった日本人特有の美意識が好きなだけなのかもしれない 思うこと、考えることをなるべく一度飲み込み、 自らの感情の発露を相手にとって望ましい形ではなく 如何に自分が美しいと…

ヒトデナシ

…人を為さずもの。 ある人の所業を思い返し、笑いながら 「ヒトデナシ」 と独りごちてみて直ぐ 「さすがにヒトデナシは言いすぎたか…」 と考え直しかけたものの、確かに人を為さずものではあるので誤りでは無い。 いま自身の目の前にいる人が、果たして人で…

健やかな出会い

新たに出会った人と別れる際、 SNSのアカウントを教え合うでもなく、 詳細な次会う予定を詰めるでもなく、 「またどこかで」と手を振れ合えるとき 健やかな出会いをしたなと嬉しくなります。

むだなもの

ふと 自分とセックスすることのない異性に 生殖器がついていることに強い違和感を覚え、 同時に 想像するととても気持ち悪いなあと思った。

旅のはじまり

ちょっと素敵な場所を教えてもらったので、遊びに行こうかなと調べたら 完全予約制だということを知る。 予約方法に関してホームページはおろか、電話番号やメールアドレスすら公開されておらず、 往復はがきを郵送すると、日時を指定した招待状が送られてく…

この小さな世の中で

身勝手な世の中は 「人は人を愛する」ことを当然な顔して廻っているので、 いつもそれに絡め取られてしまう。

シュレディンガーの猫田

あーんなに行きたかった場所なのに、 具体的なスケジュールを詰めだすと、途端に気が滅入りだす現象。 待ち合わせが怖いのは、終わりが始まるのが怖いからと散々言いますが 審判の日が怖いとも言えるのでしょう。 それが有罪と付けられようと、無罪と付けら…

名前

そういえば一度も名前を呼んだことの無い人に そういえば一度も名前を呼ばれたことの無い人に ふいに「みみこちゃん」と呼ばれ、心を揺らしてしまった。 何処かの物語では、自分の名前を打ち明けることは 自らの魂を預けることにも等しい世界があるらしく、 …

約束

恋に傷つきたくなければ、 短い恋をすることを自分に約束すればいい。

告白

待ち合わせが苦手な私にとって、 実際に会うことよりも 「会いたい」と言えることの方が、余程何かを解決することを知った。

好きの名前

共感されたい「好き」があれば、 共感してほしくない「好き」がある。 その人の生活をなぞりたい「好き」があれば、 その人の生活に組み込まれたい「好き」がある。 instagramというアプリが、多分色んなSNSの中でも一番好きで 会ったこともないような、言葉…

続続 待ち合わせが苦手です

約束の時間に、約束の相手と連絡がとれないと 焦るどころかむしろ安心してしまう。 「終わり」がはじまらないことを、期待できるから。 『旅は準備が一番楽しい』なんてことを言うけれど 私にとっては人と出かける、食事をする、すべての予定が正にそう。 姿…

わからないことがわからない

遠くへ行きたいという願望が日に日に強くなっていく そのための時間もお金も、それなりにあるはずなのに どこへ行けばいいのかがわからない。

パーティーいかなあかんねん

パーティーが嫌いです。 というと「知らない人と話すのは怖くないよ」というようなフォローをされるのだけれど なまじその場の空気に沿ったリズムで会話をこなせてしまうが故に (自分の交流域を薄く広く増やすための目的のために、さして思ってもいないこと…

あなた行かないで わたし行くけど

わたしが貴方のもとを去るのはわたしの勝手だけれど 貴方がわたしのもとを去るのは耐えられない。 二人の間に距離が開くことに耐えられないのではなく、 貴方がわたしのもとを去るということが耐えられない。 漬物石とでも恋をしていたらいいのに。

美しく太る

私が体調管理に(それなりに)気をつかっているのは、 デブがいやな訳ではなく、骨格や肉の付き方から太めの体型が似合わないからというのが大きい。 物心ついた頃から「太った」という経験がなく、 時には骨と皮だけのようなギスギスした身体であることを誇…

デートは失敗がたのしい

目的地をAにするかBにするか問われれば、迷わず 「あなたの行ったことのない方へ!」と答える。 その結果慣れない店までの道のりに迷い、 足をくたくたにした挙句臨時休業で、 更には突然の雨に降られちゃったりなんかして、 やむなく近くの冴えない中華料理…

歩幅

お互い他人とだらだら一緒にいるのは苦手なので、 休日に遊びに行っても三時間くらいで解散する。 だけどなのか、だからなのか、 会えば会うほど一緒にしたいことが増えていくので また直ぐに遊びに行きたくなってしまう。 そんな素敵な友人がいます。