散文 #5

 

大好きだったマスカラもハイヒールもミニスカートも

今のわたしにはもう必要のないものになってしまった。

 

それは環境の変化もあるけれど

何よりわたしの中に、もうあの頃の攻撃性がないことが大きい。

強く何かを思う気持ちや、強く何かを憎む気持ちに充てられると

すっかり参りきってしまう。

 

そうした強い自分の喪失に切なさを感じながら

弱いまま生きていられるのは偉い。