彼女

 

 

「彼女は元の彼女に戻ろうとしているのではないのです、

無理のない新たな彼女に生まれ直そうとしている」

そんな言葉を思い出す。

 

ひとは一体他人の何の部分を好きになるのだろう。

まるで中身が入れ替わっても、それでも好きで在り続けることに

果たしてそこまで価値があるのだろうか。

「私はこの人の◯◯なところが好き」といって

それが失われたら去るという判断も、充分純粋な愛情だと私は思う。

 

それでも自分がそうはなれないのはきっと

好きな人のことはいつも「なんとなく好き」でいたいからなのだろう。

その人の柔らかな輪郭を捉え、ぼんやりとそれをなぞるように

なんとなく寄り添っていたい。

 

きっと中にどんな要素が入っているのかは

そこまで重要ではないんだろうな。