ブランドのストーリーを作るのはデザイナーじゃない?

わたしはファッションや美容に意識が高い方ではないので、
ブランド物などに固執することは基本的にないのだが、
たったひとつ、これだけは決して買わないだろうと決めているブランドがある。


それはわたしが20歳になったはじめての母親の誕生日で、
まだ学生ではあったのだが、はじめて自分の労働活動(アルバイト)でプレゼントをあげられることが嬉しく、
地元の百貨店に入っている某ブランドショップに足を運んだときのこと。

母子といえども、28も年が離れているので、
わたしは彼女がどういうものを欲しているのか、
また彼女の世代にはどういったものが似合うのか検討がつけられなかったので
そのショップにいた店員さんにアドバイスを求め、声をかけた。
…そこで、とても悲しい思いをした。

端的に云うと、その店員さんにとって、
日本では殆ど知らないものがいない程有名なそのブランドに、
まだ20歳になったばかりの小娘は客として認められなかったんだろうな。
冷たくあしらわれた、一言一句今でも覚えている。

そのブランドのデザイナーには恨みなんて勿論ないし、
雑誌でみかける度に素敵だなーとは思うけれど、
わたしはもう決してそのブランドの商品は買わないと決めている。


わたしにとって、そのブランドのイメージは
その日1日接しただけの一人の女性によって強く汚されたのだ。



たかがそれしきのことで…と思うかもしれないけれど、
ブランドを背負うとはそういうことだと思う。
ブランドに限らない、店や職業、会社を背負うって同じ事だ。
販売員、接客業とはそのひと自身が商品のひとつでもあって、
その核にあるプロダクトがどれだけ素晴らしくっても、
それをきちんと客にコネクト出来なければ、
そこまでのストーリーを作り上げなければプロダクトの質はまったく意味が無い。



そのひとりの販売員について考えながら、
わたしは飲食の接客業しかしたことがないが、
自分にもそういった過ちを犯したことがないか考えてみた。
…にんげんだもの、機嫌が悪い時だって、そしてそこに運悪くあたったお客さんだっていたかもしれない。
もしかしたらそのひとは、わたしひとりのせいで、本当はとっても美味しいご飯を上手く受け入れられなかったかもしれない、
それを思うと、とても悲しい。





 



そんなことを、お昼に美容室で同じような悲しい思いをしながら、思い出していた。
美容師さんって、なんであんなに恐いんだろう。