現代芸術最終兵器研究所

武蔵野美術大学卒業制作展の帰り道、
ばったり数年ぶりに他学科の友人ルイス(日本人、本名石黒)と会ったので晩ご飯を食べるなどした。

 



ルイスの最近やっている活動グループネームはarpon(アーポン)というそうで、
正式名称は 現代芸術最終兵器研究所。

名の如く現代芸術に於ける最終兵器を創り出すアーティスト集団なのかと思いきや、そのコンセプトは思ったより深く、ひん曲がっていて面白い。


①アートを滅ぼすための最終兵器を研究する。
②この世界が滅ぶその時にアートが最終兵器として残るのか否かを研究する。
(コンセプトがまだ2つあり、定まっておらず、ふんわりしている所、

また、あくまで製作所ではなく"研究所"と名乗っている辺りも愉快)

 

 

 

ルイスは建築学科だったのだが、油絵学科の生徒によく混じって
ダンスやパフォーマンスやらを表立ってやっている、
所謂世間一般から見える”アート"をやっている存在として認識していたので、
その彼が「アートを滅ぼす」と言ってしまっていたのが非常におかしかった

(わたしにはこういう視点は無かったのだが、もしかしたらこの視点がこれからの形なのかもしれない)

 

 

つい最近読んだ記事の村上隆のこの言葉

「でも、普通に考えれば、芸術ごときで世の中は変わらない。

 芸術なんて、この現代社会の中では無能、無意味です。

 だけど、やり続けるしかない。

 僕らがもだえ苦しみながら活動している姿を見て、鼓舞され、勇気づけられる人たちが絶対にいるはずだからです」

 

がずっとひっかかったままで、

ルイスの「アートを滅ぼす」発言はこの言葉に更にトゲを生やすような面白さだった。




アート如きで世の中は変わらない、いつだって世界を変えるのはアートを利用してきたひとたちだ。
それでもやり続ける、と続ける村上隆の言葉も非常に愛しいが、
(自分もそういうひとたちに勇気づけられて、そういう存在になりたいと思い続けてきたので非常に共感できる)


だからこそアートを滅ぼす最終兵器を生み出す、という結び方も面白いかもしれない。
それを学び、作り続けてきたわたしたちはアートを盲信しすぎるきらいがある。
ちょっと面白いので、一度滅んでみればいい。