ラーニングフル・エイジング
活気ある高齢者を見ると、年を重ねるのが楽しみになってワクワクする。
老いとは喪失のように捉えられがちだが、
不自由を得ることで、見えてくる自由もあるのではないのかなと私は思うのだ。
世間ではすっかりアンチエイジングなんて言葉が大きい顔をしているけれど、
私は歳相応にきちんと老けていきたい。
鏡
私は鏡です。
私のことをいい人だと思うのなら、それは貴方がいい人なのだと思う。
私のことをいやなやつだと思うのなら、それは貴方がいやなやつなのです。
散文 #9
自らの執着に悩む女の子の話を聞いているうちに、
わたしの穴は埋まっていった。
いつそう自分に約束したかは覚えていないが
わたしはもう、今目の前にあるものしか愛さないことにしている。
これは自分の心の器の狭さから来る一種の諦めでもある。
執着に苦しむ人は強く、美しい。
その呪いできっとなんでもできるだろう。
散文 #8
家とは
帰ればあなたの顔が見れるとか声が聞こえるというのではなく
あなたの持つ空気が、家全体を取り囲みここに所属しているという事実が重要なのだと思う。
だからみんな夫婦や家族という
契約を重んじるのだろう。
わたしの人生を構成していた存在が一つ消え、
いや消えていないのだけどそこにいるのだけど
それでももう、二度と同じ密度で交差することはなく。
上書きできる分、余程失恋の方がましだわと思ったりしている。
散文 #7
心に穴が開いている。
今日くらいは穴は開けたまま眠ろうと思う。
散文 #6
私にとって仕事とは
この世界をまたひとつ好きになるための業である。
と辿り着いたら
また仕事が楽しくなった。
よかったなあ。
散文 #5
大好きだったマスカラもハイヒールもミニスカートも
今のわたしにはもう必要のないものになってしまった。
それは環境の変化もあるけれど
何よりわたしの中に、もうあの頃の攻撃性がないことが大きい。
強く何かを思う気持ちや、強く何かを憎む気持ちに充てられると
すっかり参りきってしまう。
そうした強い自分の喪失に切なさを感じながら
弱いまま生きていられるのは偉い。