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森薫さんの『エマ』を読みました。雑感

※ネタバレ激しいです。

 

 

随分前に1巻を読んだきり、その後を「読みたい読みたい」と思いながら

ずっと読めなかった漫画(だって大判コミックス高いんだもん…)

『エマ』を先日全巻プレゼントして頂いたので嬉々と読ませて頂きました。

 

 

ひと通りざっと読み終わって率直な感想は

「もっとうだうだしてて欲しかった!」

(全10巻中、主役2人の物語が7巻までで終わることを知らなくてとても悲しかった…)

 

 

 

ちょうど少し前まで読み返していたのが、

昭和を代表するうだうだラブコメ名作漫画

『めぞん一刻』だったので余計にそう思ってしまったのかもしれない。

 

主人公エマとその恋人となるウィリアムの恋愛模様のもつれを、

もっともっと長いこと味わっていたかったのです。

 

なんてったって、ふたりが出会ってウィリアムがエマに一目惚れしてさあこれからどうなる?!

という1巻で1年以上立ち往生していたのだもの

その後ふたりがどんな盛り上がりを見せるのか期待に胸膨らませていましたよ。

 

ところが2巻で速攻ふたりは結ばれて、

呆気にとられるヒマもなくエマの雇い主であるケリーが亡くなって2人は離れ離れに…

という展開の早さ。

ただ1度デートしてキスをしただけの思い出ひとつで、

その後様々な波乱を起こす物語を生む契機になるかなあ…と。

 

当時の時代背景を考えればそういう恋愛が普通なのかもしれないし

たかが物語ひとつにそんなこと言い出したら

一体どれだけの映画や漫画が揚げ足取られるか知ったこっちゃないけれど。

エマに一目惚れしたウィリアムはともかく、

エマが彼に焦がれている理由がいまいち掴めなまま、

物語が進んでいくととても置いてかれている気分でした。

 

 

2人の障壁とひとつなるミス・キャンベルの存在も、

のんびりぼんやり典型的ないいとこのお坊ちゃんウィリアムが

成長していくための役割としては良かったけれど、

めぞん一刻』に於けるこずえちゃんのように、

もう少し2人の中をかき乱して欲しかったのが本音。

 

登場こそハラハラさせてくれたものの2人が再開した後はさしたる出番もなく、

おずおずと舞台から退くだけ(その代わりとして障壁として父ミルドレイク伯爵にその場を譲る)。

『頼めばやらせてくれそうなガールフレンド』ポジションで物語終盤まで粘ったこずえを見習えと。

 

貴族社会の現実的な部分を描くなら難しい場面設定なのかもしれないけれど、

エマ本人が一度ミス・キャンベルと対峙するべきだったよね。

女の闘いが見たい、というわけではないけれど、

ウィリアムがどうしてエマを選び、

どうしてミス・キャンベルではいけなかったのかという部分をちゃんと描くために

2人をちゃんと出会わせて欲しかった。

ミス・キャンベルの不足にあたるような描写がなかった故、余計にね。

 

 

 

総括すると、エマを主人公に据えて物語を進めるよりも、

ウィリアム主人公の方が物語が盛り上がったのでは。

 

中盤以降、物語のキーとなる事件を成しているのは全てウィリアムで、

エマは彼を支えているに過ぎないの。

エマに魅力がないというわけでは勿論ないけれど(むしろ滅茶苦茶好きな部類のキャラクター)

貴族社会という舞台設定・設定オタクな作家自身の特性・エマの少し控えめな性格とメイドという職業、

の3つが上手く咬み合わっなかったのが要因かしらね。

(仮に作者が舞台設定に対し雑な姿勢だったら、エマがお転婆なキャラクターだったら、もう少し要素々々が絡み合った物語展開を迎えた気もします)

 

 

 

 

 

…などと、勝手に期待値を上げまくった結果から出てくる文句を並べてみたけれど、

ウィリアムの結婚式で2人が再開するシーンでは漫画を読んで久しぶりに泣きましたし、

終始ふたりの恋愛にはどきどきしっぱなしでしたよ。

長編恋愛漫画なんて普段殆ど読まないのにね。

(普通、長編恋愛漫画って天下一武道会編くらい同じことの繰り返しに見える)

自分でもびっくりしました。

現在連載中の『乙嫁語り』 も非常に楽しみにしています。

(パリヤさんがすきなので幸せにしてあげてほしい)

 

それにしても「めぞん一刻」「うる星やつら」「らんま1/2」の高橋留美子大先生よろしく、

女性作家の描く恋愛群像漫画は、

出てくるキャラクターをほぼ全員"つがい"にして大団円を迎えようとする辺りがとてもよろしいですね。

 

同じ女性として

「自分が生み出した女性キャラクターは誰一人として不幸にしまい!」

という心意気という名の包括的な愛情としても、

自分の作り始めた物語を多少無理矢理にでも、

全力でハッピーエンドに向かわせようとする火事場のクソ力としても非常に好ましいです。

 

 

と、ここまで描きながら「いちご100%」の河下水希さんも女性だったことを思い出しました。

見なかったことにします。

 

 

 

 

 

今度はだいすきな『めぞん一刻』の裏名場面集でも作りますね。