美しく怒る


ずっと憧れているひとは

いつも何かに怒っていた。

 

なにをそんなに怒ることがあるのかと、

わたしは不思議でならなかった。

当時のわたしは怒ることよりも笑うことが得意で、

いつもヘラヘラしてたように思う。

(ニタニタとも言われていた)

 

笑うことは簡単だ。

口角を意識すれば良い。

口角を上に、上に、向けることを意識出来れば

楽しい気持ちは後から付いてくる。

 

怒ることは難しい。

怒りには所作が無い。

 

 

 

 

最近ようやくわたしも色んな物事に対して怒れるようになってきた

(以前より物事を知り、ちょっとだけ賢くなれてるのだと思う。)

憧れのひとに少しだけ近づいたことを嬉しく思い、知る。

 

怒るのって疲れる。

何かにずっと腹を立てていることってとてつもない全身運動だ。

 

笑うことはそんなに疲れない。

笑おうとすることは疲れるけど。

でも怒りに比べればマシ。

怒りは、怒ることも

怒ろうとしないこともどちらも疲れる。

 

 

 

怒りには所作がない。

殴ったり、物をぶつけたりすることは怒りの所作ではない(と思っている)

敢えて言うならば眉間に皺を寄せることくらいかしら。

 

口角を上げることで笑えるように、

身体的活動から怒りを誘発させて

また自然発生した怒りを身体に上手く流すことを覚え、

活動エネルギーに変換できないかしら

と最近ずっと怒りながら考えていたら

 

「美しく怒れ」という本が家に転がっているのを見つけた。

まだ読んではいないのだけれど。

美しく怒る、というのはいいことだなあと表紙を見て思う。

 

この世界に在るもの殆どは消費されることを免れず

それは人間もまたそれらが持つ感情も同じ

どうせ消費する/されるのであれば

せめて美しくありたい。