しをかくひと
詩をかくひとに、現代はほんの少しやさしくない。
簡単で便利なものが持て囃される今の世の中で、
確かに詩は簡単でなければ便利でもないので、
煙たがられるのもしょうがないなあと思う。
言いたいことをまっすぐ言えずに、
回りくどく詩を書いてみる。
言いたいことの全てを言えずに、
端的に詩に言葉を落としてみる。
詩を書くひとにやさしくない世の中は
詩を書くひとを笑ったりするだろう。
恥ずかしさを持った詩をかくひとは、それをひとの目から隠したりするだろう。
茂みの中へ、こそっと身を隠したひとつながりの言葉たちの
何と力の弱いことよ。
たとえみんなの目から見えなくなってしまってもかまわない、
その小さく弱い言葉の灯りが
あなたの中から消えてしまわないことを願う。