わたしは死にたい
ソクラテスは死なない
どんな偉人でも超人でも肉体はいつか死ぬ
(医学や科学の進歩で今後どうなるかは置いて)
それでも魂は死なない、とソクラテスは説いた
事実、彼の思想が現代に生きている
時間も距離も超えた何処かの誰かが
彼の思想を解き、現代に起きる問題と対峙させ、
再構成して当て嵌める
思想がそこまで引き継がれたなら、
最早ひとは死なないと言い切っても良いと思う。
身近な問題に当て嵌める
自分に乗り越えられるか不安な問題が降りかかったとき、
尊敬する友人や先輩のことを思い出す
「こんなとき、あのひとならどう対処するだろう」
その際、その時間に彼らの肉体が存在しているか否かは無関係だ
肉体の実在とは無関係に、
彼らの思想、またそれがもたらす行為が生存する
ソクラテスは死なない
彼は偉大な哲学者だったからその思想を多くの人々が引き継いだから、
死なない
記録媒体が進化した現代、
ひとは死なない、きっと
当人が偉業を達したとか、誰もを掬い上げる思想を残したとか、
そんなこととは関係なく
それでも、わたしは死にたい
わたしの思想はこの小さな日本人の肉体にだけ閉じ込めて、
肉体の停止と共に
わたしは死にたい