おけいこカメラのこれから 〜こどもカメラの中村愛さんに会って〜

 

少し前になりますが、

「100ぱーせんとコドモカメラ」中村愛さんとのミーティングに同席させて頂きました。

 

中村さんは子供に一眼レフで写真の撮り方を教える方で、

わたしもかじるように写真を習って、撮っている人間としてはとても興味深い話が聞けた時間でした。

 

 

まず最初に、一眼レフを扱わせるという事で

逆光や順光の話、ISO感度や絞り、シャッタースピードについても子供に教えるそうなのですが、

子供たちが飽きないように、とクイズ形式にした教材がとてもわかりやすくて、

子供ということに囚われず、大人も(というかわたしも)今一度この教材にて学びなおしたいと思ったり。

(わたしが学んだ大学ではまずカメラの構造を教えてもらったんだけれど、

 正直ちょっと難しくてごにょごにょ…)

 

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↑適切な光の扱い方をまず焼いた写真上で判断する

 

 

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↑「あかるさ3兄弟」と称して、ISO感度、シャッタースピード、絞りを覚えるクイズ

 

 

 

 

子供の撮った写真、というとブレやボケ、視点の低さばかりが

大人と比較して取り沙汰されるのが気になったそうで

これも子供に限らずだけれど、写真は絵とは違ってシャッターを押せばとりあえずは"撮れてしまう"

だからみんな感覚でなんとなく"使ってしまっている"ひとが多すぎる。

本当は感覚ではなく、もっと理論的なものなのに、、、というのが中村さんの論。

"撮れてしまった"ものではなく、裏打ちされた技術の上に"どういう画を撮りたいか"という

想像・創造の話になるところまで経験、技術を積んで欲しい、と。

 

正直、わたしの耳にも痛い言葉でした。

最初はフィルムの一眼レフを扱うところから写真には入ったのですが、

最近専ら使うのはコンパクトデジカメばかり

たまにデジタルの一眼レフを使うと、いつも最初の調整でしばらくは戸惑うばかり。

じっくりとカメラの理論について話してみて、と言われたら出来なくもないと思うのですが

多分それがちゃんと身体に染み付いていないからなんだと思います。

 

子供のうちからクイズ形式で身体に染み付けるように覚える、というのは写真教育としてとても良い気がします。

 

 

 

 

子供のうちからの写真教育が、どういう意味で良いのか、と聞かれると正直未だなんとも言い難いのだけれど

ピアノやキーボードのおけいこで音の扱い方を覚えるように、

カメラのおけいこで小さい頃から光の扱い方を覚えたら、

その後見るもの、触れるものとの関わり方が子供にとってどう変わっていくのか、

またおけいことしてカメラに触れた多数の子供が成長して、写真技術・写真の世界がどう発展していくのかはとても気になるところです。

 

 

 

 

「pair camera」で少し語ったりもしましたが、

わたしはカメラを持ち、写真を撮りはじめることで"見る"ということを覚えた気がします。

どのように世界を見たいか、どのように世界を彩りたいか、考え始めたきっかけのような気がします。

メディアから注がれるステレオタイプの美とはまた異なる、自分にしか見つけられない"うつくしい世界"を見つけられるようになった気がします。

そうして世界の切り取り方を覚えた人間は今度、

その美しさについて共有しようとしはじめます。

(いまの、これからの時代はより一層共有が容易になる世界ですね)

 

 

カメラというものが与える自己の内省に向かわせる刺激と、

行為(好意)に主体性を持たせることで育まれる社交性。

幼い頃からこのふたつを学ぶことが、後の成長にどういった影響を与えるのか。

 

 

"趣味"では終わらない、"おけいこ"としてのカメラがすこし気になるお話でした。

 

 

 

中村愛さん(中村こどもさん)個人サイト http://hidamari-camera.com/