イベントをつれてきてくれるひとがすきです。
イベントごとが苦手。
苦手というよりは関心が薄い。
クリスマスもバレンタインも誕生日も、まわりが騒ぐよりずっと関心が薄い。
イベントに向けて、寂しさを紛らわせようと恋人を作ろうとすることも
そのイベントをいまいる恋人と楽しもうと画策することも、正直すこし苦しいものがある。
イベントごとが苦手というよりは、
恋愛とセット売りされているイベントが恐ろしいのかもしれない。
今日久しぶりに、東京大学の安田講堂前に立った。(工学部に少し用事があったので)
安田講堂前の芝生をみると、今冬の月食を思い出す。
その日、わたしは安田講堂前の芝生に寝転び月食を見つめた。
世間が湧く今冬の月食は、わたしにとって間違いなく苦手なイベントごとのひとつであったのだけれど、
そのとき一緒にいたひとがわたしの手をひくように芝生に乗り込み、
(柵があったので、本当は入ってはいけなかったような気がする)
そこに寝転んだので、わたしも横に並んで仰向けに寝転がってみた。
しんと張り詰める冬の空気と、きんと耳元で鳴る静けさ(本当は周りでたくさんの学生が騒いでいたのだけれど、そんなの聞こえなかった)
と共に見つめる月食は
イベントごと、などとは関係なく吸い込まれるように美しかった。
嘘の静けさの中で浮かぶ、隣で寝転ぶひとのぽつりぽつりとした声
「せっかくだもん、やりたいと思ったことはやらなきゃソンだよ」
を聴きながら、
思ったよりも長い月の満ち欠けに身体を震わせながら、
ああ、これは恋をしているなあ
とじんわり思っていた。
イベントを楽しむために恋を作るのではなく、
恋がイベントを連れてきてくれるんだね。