"人生、あきらめるには早すぎる。"
映画『50/50』を主演のジョセフ・ゴードン・レヴィットに釣られて観てきました。(ネタバレ有)
一番強い感想は「なんか…勿体無いなあ…」
ひとりひとりのキャラクターの性格や背景がとても色濃くて面白いので、
もっと上手く活かして欲しかった。
(無理やり連れてこられた老犬や、お節介なお母さん、クラブで出会ったちょっと軽そうな女の子
そして何よりアルツハイマーのお父さんがもっと"映画的"に使われると思って構えていたんだけれど、
肩透かしですこし残念だった)
演出の端々にわたしがジョセフを知るきっかけになった映画『500日のサマー』が思い出されて、
それを意識しているけれど、成りきれずかと言って拭いきれず、という非常に中途半端な印象。
ただ、映画全体を通した、難病との闘いの描き方は凄くサラっとしていて良かったなあ。
"闘病"がテーマの作品は、なんとなく「泣かせるため」の暴力的な演出というイメージが強かったんだが、
この『50/50』は適度な明るさを保ち、ジョークを挟みながら其等を描いていたのでドラマになりすぎない。
主人公の病気をネタにクラブでナンパする悪友とか(彼がほんとナイスキャラ)、
病気を告白した主人公に「ずっと付き添う」と誓いながらも浮気をして「貴方を見捨てることが出来なかったの」って言っちゃう恋人とか、
わたしは難病を患ったり、周囲にそういうひとがいたこともないのだけれど、
病気と付き合う、ということは案外こういうことなんだろうなあと、現実に即した共感をしやすかった。
(脚本家は自身もがんを克服した経験があるらしい、成程。)
主人公の手術跡を悪友とふたりで見て「きもいwww」って笑うシーンはほっとしながらも、少し泣いた。
苦笑いしながら、「そう、現実ってこんなもんだよねえ…」と言えてしまう映画がすきです。
わたしの年齢だと生まれた時からアニメやドラマ、映画、漫画などのメディアは、至極簡単に触れることが出来たので、
現実で起こりうる事象の殆どは箱の中、向こう側の世界で語りつくされていた。
特にわたしは大のテレビっ子だったので、
ひとは恋をすれば胸がときめき顔が赤くなるもの、
ひとは近しいひとが死ねば死体の傍で泣き喚くもの、
などという本当はそればっかりじゃないのにそうするのが正しいかのような「暗黙のルール」みたいなものを知らないうちに刷り込まれていたのだと思う。
年を重ね、現実はドラマとは異なることを比較して気付くことが出来、且つドラマが際立って美しいと云うのではなく
「わたしたちが生きている現実はドラマとは違うけど、こんなもんだよねえ、だからいいよねえ」
と前向きに捉えられることが出来る、
『50/50』は作り物だけど、そういう映画でした。
そしてやっぱりジョセフ・ゴードン・レヴィットは格好良いし可愛かったなあ。
30歳を過ぎた白人俳優で、彼のように少年のような可愛さ(愛らしさ)を保ったまま、というのはとても珍しい気がする。
向こうの俳優さんって年を重ねるとムキムキになるイメージ。
何処か日本人男性ぽくてすきです。
可愛いなあでへでへと思ってたら『インセプション』でその格好良さを魅せつけられてたまげた、震えた…。
(それまで『500日のサマー』等の少し頼りない男の子としてしか見てなかったので)
同監督の今夏公開の『ダークナイトライジング』が禿げ上がるほど楽しみ。
そういえばジョセフの過去作品を漁っていて、拾い物が。
ヒース・レジャー主演の『ヒース・レジャーの恋のからさわぎ』が内容に期待できそうにないふざけたタイトルとは裏腹に、
青春痛快ムービーとしてとてもよく纏まっていて面白い。
ヒース・レジャーが格好良いし、ジョセフは可愛いし、
ふたりの顔がよく似ていてまるで兄弟のようで微笑ましくて、ヒース好きもジョセフ好きも楽しめるかと思います。
(これを観たのがヒースの不幸を知った後だったので、より感慨深かった)