まれびとハウスにやってきて1年経ちました。

田端にあるシェアハウス「まれびとハウス( http://www.mare-bito.net/ )」にやってきて1年経ちました。


元来根無し草な性質のわたしが、
まさかこんなにも長い間ここに居座ることになるとは思わなかった…。
そんな1年間の感想文を、めずらしく長々と書いてみる。






そもそも、わたしがまれびとハウスと出会ったのも本当に偶然の重なりで、
友人と観ようと約束していたAKB劇場のチケットがとれなかったので(当選が判るのって当日なんだよね)、
「面白い場所があるらしいんだけど、行ってみない?」と
まれびとハウスが何なのかよくわからないままやってきて、気がついたら居着いていて、気がついたら住人になっていたのです。



やってきた当初は、3ヶ月と期限を決めて、4月には去る予定。
…だったのが、わたしが入居して直ぐに一人出ていき、二人出ていき、
あれよあれよという間に住民がほぼ総入れ替えすることが決定して、
完全に出ていくタイミングを失ったと言っても過言でなく…w


や、正確に言うと、タイミングを失ったなーと思いながらも、
途中からは「これはここに居座るべきなんだな」と覚悟が固くなっていたのよね。
なんせ根無し草ですから、"コミュニティを作ること・その構成員になること"にこれまで慣れていなかったもので、
今こそ、今まで目を逸らしてきたその役割を担う時期なのだとうっすらと感じ始めたのです。






住民が(ほぼ)総入れ替えの時期は不安でいっぱいだった。
まれびとを外から見ていた方たちにもそう思われていただろうけれど、
中にいたわたし自身も「これは、このまままれびとが終わっていくのかしら…」と
まれびとハウスの終焉(所謂オワコン化)を感じていなかったと云えば嘘になります。
(元住民と「このまま解散でしょ(笑)」という話をしたことも、今になってようやく笑い話)




実はこのタイミングで出ていくことも一瞬考えたんだよねえ。
だって元々長居する気もなかったんだし。
でも、先程の覚悟の話もそうですが、なんとなく、いや強く、
このまままれびとハウスを終わらせてはいけない、と思ったのです。


そう思った要因のひとつに、元まれびと住民で現トーキョーよるヒルズ住人のふじたくさんが出てく際に
残した言葉があります。


『初期の6人がいなくなった後のまれびとハウスがどうなるのか、というところにとても興味がある』



期待されたから、というばかりではないですが、
そこにわたしもとても興味が湧いたのです。
残された、そしてこれからのまれびと住民が作るまれびとハウスがどうなるのか、
今までのまれびとハウスが持つ"まれびとっぽさ"を何処まで壊さずにいられるのか、また、何処を壊せるのか、
それを作ってみたい(今風に云うとデザインしてみたい)と。







新しく?まれびとハウスをデザインするにあたって、
みんなの中で一番最初に出てきたことは『普通の生活を大事にする』ということでした。
これは、今までの住人がしてきたような、イベントをたくさん開き、お客さんを毎日のように呼ぶ、
といったことが、残された住人には生活スタイル的にも、性格的にも出来そうにはない、
ということの反映で無きにしもあらず…。
けれど出来ないから、ではなく、まずわたしたちの生活をしっかりと基盤に載せる、
シェアハウスの"家としての役割"の部分をきちんと確立させよう!と。
(これは前述の終焉に対する精神的揺らぎを安定させるためだったのかもね)



だから、当然といえば当然なのですが、最近はじめてやってきたお客さんには決まって
「思ったより普通の家ですね」と言われます。

はい、普通の家です。



リデザイン後何人かには「前住んでたひとの方が面白かった」と言われては少しショックな思いもしました。
まあでも確かに、以前住んでいたような怪しげ?な、不思議な雰囲気を漂わせたひとはもういません。
今いるひとたちは普通のひとたちです。
普通のサラリーマンだし、普通の販売員だし、普通の学生だし
(ジュンヤモリは気がついたら有名人だったけど…)
気づけば隣にいるような、普通のひとたちです。







普通のひとたちみんなで住むに当たって、わたしが勝手に大事にしたいと思ったひとつが"ヒエラルキー"を作らないこと。

別に前のまれびとハウスが恐ろしかったというわけではなく、w
(わたしが一番新しい住民だったから、中々家の核心に関わることに対して発言がし辛かっただけなんだけど)
ひとつの物事を決めるに当たって、誰に判断を委ねるか、というようなことをしたくなかった。
引いて云えば、「誰々がいてのまれびとハウス」という様式にしたくはなかった。
みんなで漕いで、みんなで迷って、みんなで到達する家にしたかった。







と言っても、本当にこの方向で良かったのか、
このまま進めば、ただの「なかよしグループ」で
みんなが遊びに来れるプラットフォームになることが出来るのか、
不安はいっぱいのまま。



そんなとき、なにかのきっかけで遊びにきてくれた劇作家PLAYWORKS( http://plaza.rakuten.co.jp/kishii/ )の岸井大輔さんがくれた言葉が、
とても強く心に残っており、
いまのまれびとハウスを構成するための(少なくともわたしの)指針になりました。




『グループを構成するには大きく分けて3つの要素がある。

  ①仕組み ②リーダー ③コミュニティ

 殆どのグループは必ず3つのうちどれか欠けている(それがグループの特色とも言える)
 まれびとハウスは ①仕組み の家だと思っていたから、
 まれびとハウスの存在を知ってから随分経つが、遊びに来る気にはならなかった。
 ①仕組み の家はその仕組さえ理解してしまえば、直に見なくても判ってしまうものだから。
 でも、今日遊びに来て良かった。
 此処はぼくの聞いていたまれびとハウスとは違う。③コミュニティの家だったから。
 こんな「ともだちコミュニティ」は実は一番強いんじゃないかと思う。
 "必然なく出会い、偶然を続けるために、その人たちだけにしか意味をなさないような運営を編み出す集団"
 だからこそ、今のそしてこれからのまれびとハウスが楽しみだよ。』




またその際一緒に、こんな話もしてくれました。
インドか何処かの国では、グループを構成・継続するに於いて
日本の会社の温泉旅行(レクリエーション)が大層評価されているようで
その理由は
 「・会議の場 と・宴会の場 と・温泉の場 が上手くトライアングルで構成されているから」だとか。



特にこの ・温泉の場 は他国には余り見られない文化だそうで、
体をまず裸にし、ただ風呂に入る、ということが何よりのコミュニケーションになっていることが
外国人には不思議でしょうがないとか。
なんとなく、東京という都市を大きなグループに捉え、
今あるシェアハウスを(勝手に)各項目に当て嵌めるなら、
毎日のようになんらかのミーティングが行われているトーキョーよるヒルズが ・会議の場、
毎月1回必ずパーティーを行う渋家が ・宴会の場、
そしてまれびとハウスは、どんなひとも何かを脱ぎ捨てて落ち着きにやってくる、 ・温泉の場 になるのかなあ。
というか、そうしたいなあと。



これはまだ「お客さん」でしかなかったわたしが何より強く思ったことで、
終電を逃してはじめてまれびとハウスに泊まった次の日の朝、
「それでは帰ります」とまれびとを出ようとしたわたしにそのときの住人が
「いってらっしゃい」と言ってくれたことが凄く嬉しかったことに起因している。
この「いってらっしゃい」をとても大事にしたい。




オープン当初からまれびとハウスを知ってるひとからみれば、
ここは随分変わったと思います。
でも代わらず、たくさんのひとが遊びに来てくれること、
そしてまだまだはじめましてのひとがたくさんいることを、本当に嬉しく思います。
当初掲げていた「ふらっと寄れるプラットフォーム」というキャッチコピーは
むしろ今の柔らかく、丸い雰囲気のほうが相応しいんじゃないかな。
(そして今掲げている「新職感シェアハウス」は昔の方が適当な気がする…)

まれびとハウスはこれからも、「みんなが集まる普通の大きな家」であればいいなあと思います。
(あとは「すこし不思議な魔法のおうち」)








今後発展する形としては、個人的にはもっと田端を発掘したい!
まれびとハウスが田端にある意味、"田端感"のあるひとたちが集まる意味
(ひとが街に呼ばれるのか、街によってひとが色づくのか)
これは新しい住民によって吹きこまれた面白い風のひとつで、
まれびと前にあるカレー屋が実はとても美味しいことや、近くに面白い商店街そして銭湯があること、
最初住んでた半年間は知らなかった!
この面白さをもう少しまれびとハウスを介して"どうにか"出来ればいいなあと思っています。
(この界隈にはリノベーション可能な古い家屋がたくさんあるんですよ!)


果てはまれびとを入り口に、小さな秘密基地をたくさん
(それこそ住人ひとりひとり単位で)作りたかったり、シェアハウス×車で起こせる何か、という計画もうっすらとあります。




なんにもない田端という街に、なにかを見つける旅でもいいし、
なんにもないことを見つける旅でもいい。
山手線にぽつんとある小さな町を、もう少し見つめていきたい。




…というようなこと、今後のまれびとハウスについて今いる住人間で話せるようになったのも大きく変わったことのひとつなのかな。






わたしがまれびとに入ってすぐに行われた"れこみゆ追い出し会"が急遽"みみっこ歓迎会"になった際、
プレゼンで語った
「れこたんやみゆきさんはいなくなっちゃうけど(いまはいるけどw)
 みみっこはここにいますので、ぜひみなさん会いにきてください」を今回も言わせてください。


まだまだ、わたしはここまれびとハウスにいます。
なので、会いにきてくれたら嬉しいです。

最近覚えだしたお料理で、拙いですがおもてなしもしますので(通称:みみごはん)

幸か不幸か、お正月にひいたおみくじにも「転居:よくないでしょう」と書いていたことだしね。




ともあれ、今年もまれびとハウス共々よろしくおねがいします。